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意識のダンス 2

転形劇場で太田省吾さんが最後に創った舞台は「水の休日」でした。舞台一面に薄く(5センチぐらいかな)水を張って、水面が鏡のように物体や人間を反射して、時には漣がゆれるようで、きっと見ている分には美しい舞台であったろうと察するのですが…舞台に立つほうはそれはもう格闘技のようなところもあったように記憶しております。

その作品で、私は夜空に精子の星をちりばめたのですが、これは太田さんの「抱擁ワルツ」から引用されている場面でした。私は掌の精液から精子を宇宙に飛ばしたわけです。これにはいちおう歴史がありまして、この舞台の初演では、品川徹さんがたしか指先に息を吹きかけて夜空に飛ばし、追加公演でこの役を演じた大杉漣さんは指先を空に押し当てるようにして精子の宇宙を作っていたのです。私の好みはと言えば、品川さんだったのですが、真似をするのは嫌なのでひとひねり、指先を弾いて精子を夜空に飛ばしてみました。で、問題はここからです。飛ばし方はそれぞれでも、転形劇場の役者は舞台の上に精子が星のように輝く夜空を見ることが、たとえ見えなくても、星空を感じることができたのです。品川さんも大杉さんも、そして私も。ところがです。この同じ劇を新劇のある劇団の、それこそ映画やテレビでもおなじみの俳優さんがやられたのを見たのですが、とにかく希薄なのです。何がって、彼の頭上に星空が広がるはずなのに、彼には星空が感じられていない、感じられているとしても非常に希薄な、おざなりな星空なのですね、どう見てもこれは。つまりはこういうことです。感じること、なんですね、意識する、ということは。星が散りばめられた夜空を感じているか否か、それを意識に上(のぼ)せているか、否か。太田さんが常に問いかけていた意識、というのはこういうことだったと思います。

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