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すぐ側にある別世界

<感じる>ということについて、最近の体験から。

先日、立教のワークショップでインスタントの盲人体験をしてみました。二人一組になって、一方は目をつぶり、一方が手を取って散歩のようなことをしたわけですが、室内から外へ出た瞬間、私が手を引いていた学生のSU君が思わず、「おっ、おっ…」と声を発します。どうしたのかなと思っていると「陽の光ってすごいんですねえ…」と言うのです。十数分後には、今度は私がにわか盲人になって手を引かれたのですが、そう、4月末の太陽の光は、私の瞼の裏を真っ赤に染め上げてくれました。それで、しばらくする散歩を続けると、すぐ側で犬が「ウッ…ウッ…」と唸るのです。なんで犬がキャンパスに…?まさか俺を襲ったりしないだろうなあ…などとちょっと怯えていると、同じ所から「ナニ?」と呟く声が聞こえます。ああ、これは犬じゃなくて、ワークショップでにわか盲人を体験しているSI君が何かに触れて発していた声だと知りました。SU君が陽の光に驚いたように、SI君も何かに驚いていたのでしょうね。

その日、私が一番驚いたのは、外から室内に戻った瞬間でした。「えっ、こんなに空気が違うんだ、まるで別世界だよな」…心地よく流れていた風が一瞬にして途絶える、自分を取り巻いて聞こえていた物音、鳥のさえずりや学生たちがボールで遊んでいるざわめきやらがいっせいに遠のいていく感じ…つい一時間ちょっと前に、私は今と同じ道を通って、同じ入り口からこの建物に入ってきたはずなのに、その時はこの空気の違いにまるで気がつかなかったよなあ…

目を開いているか閉じているかで、世界の感じ方はこうも違うのですね。これは目を閉じること、視覚からの情報をシャットアウトすることで、他の感覚を鋭敏に意識するようになった結果の出来事ですが、俳優というのはいわば、この感覚の鋭敏化を舞台の上で目を閉じないで意識的に行う者なのではないでしょうか。

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